今回は複式簿記で家計簿を付けるメリットについてお話します。
複式簿記といってもピンとこない人もいるかもしれませんが、主に企業の会計において帳簿をつける際に用いられる記述方法のことです。
普段、家計簿をつけている人であれば、毎月の収入と支出、貯蓄額などを記録していると思います。
たとえば食費の予算が5000円だとして、大根1本を200円で購入した場合、200円のお金が無くなり、残金が4800円になったという記述方法です。
このような記述方法を「単式簿記」といいます。
入ってきたお金と出ていくお金をそのまま記入すればいいので、考え方としてはシンプルで分かりやすいですよね。
ただシンプルでわかりやすいのはいいのですが、この単式簿記で記述すると困ったことが生じます。
たとえば、借金がある人で毎月一定額を返済しているような場合、返済額は家計から出ていくお金なので当然マイナスで記入することになります。
でも借金はもともとマイナスの資産なので、返済することによってマイナスの資産が減少(つまり資産が増加)しているはずです。
現金で1万円返済すると現金は1万円減りますが、借金も1万円減るので結果的にはプラスマイナス0になるりますよね。
これを単式簿記で記述すると、1万円の返済はお金が出ていく側面しか記述しませんので、家計的には1万円がマイナスとなってしまいます。
これは年金保険などの支払でも同じことが言えます。
保険料を1万円支払った場合、資産としては増えているはずなのに家計簿上は1万円支払って手元のお金がマイナスになったということしかわかりません。
このような取引(支払)が複数あるとだんだん自分の資産が実際にはどの程度あるのかを確認するのが大変になってきます。
この問題を解決するためには「複式簿記」という記述方法が役立ちます。
複式簿記と使うとひとつの取引(支払)を「貸方」と「借方」、「資産」と「負債」、「費用」と「収益」という二つの側面に分けて記述することにより、お金の増減を正確にとらえることが可能になります。
ただ、先ほども言ったように複式簿記は企業の会計を正確に記述するために発達してきた記入方法なので、正式な複式簿記のつけ方を身に着けるのは大変です。
何より家計管理においてはあまり意味もないと思いますので、家計管理においてはそのエッセンスのみを利用するのが賢い選択でしょう。
先ほどの大根の例で考えると、200円の大根の購入する場合、
- 200円の「費用」が発生
- 200円の現金が減少(現金という「資産」が減少)
したと考えます。借金の例で考えると、
- 1万円の現金(「資産」)が減少
- 借金(借金は「負債」)が1万円減少
したと考えます。
このような考え方は複雑に感じるかもしれませんが、より家計管理を正確にしたい人にとってはとても有益なものだと思います。
具体的な記載方法は次回の記事でお話したいと思いますので、参考にしていただければと思います。